FINAL FANTASY VIII

 懐ゲー探訪。
 実は長らく未クリアのゲームでしたが(始めてもいつもディスク3〜4あたりでやる気なくなってやめていた)、14年の月日を経て、ようやくクリアまで到達。
 改めて今やってみると、いろいろ思うところが多いゲームだった。


 ストーリーが中盤以降駆け足というか暴走していくところとか、ディスク4がただエンディングを見るためだけのおまけになってしまっているところとか、そういうところで評価を落としてしまっているゲームなんだけど、その辺の欠点は世界観周りで大風呂敷広げすぎた弊害だったような気がしないでもない。
 今見ても設定の詰め込みっぷりが凄まじい。世界はこのようにして存在しており、人々はこのようにして生きているのだ、というメッセージが十分に含まれている。最近、ここまで設定の凝ったゲームは日本産RPGではほとんど見られなくなったが(洋ゲーだと結構見るけど)、やはりRPGは設定ありきなのだなと再認識させられた。最近は中二病とかいう言葉が先行して、どうもこういう設定を細かく作っていく行為に抵抗を持つ人が増えたように思うが、最低限、ラスボス倒したあとの人々の生活が想像できるぐらいの設定は組み上げていてほしい。武器アイテムを提供するためだけになんとなく存在している村人はいらないのだ。どうも最近の日本産RPGは淡白すぎる気がしてね…
 そんなこんなで世界観や設定関係では改めて目から鱗だったわけだが、その反面、世界観にストーリーが追いつけなかったところはあったかもしれない。やはり何度見てもスコールとリノアくっつけてどうこう、という展開は安直すぎるものがあるね…今回も全く感情移入できなかった。
 しかしそんなストーリーにもテーマというべき芯は通っていた。今回最後までやってようやく、FF8が何を伝えたかったのかわかったんだが、今まではそんなことよりディスク4の適当な構成が許せず、何度やってもクリアできなかった。そういう人はたくさんいると思うし、やっぱりそうやってやる気を削ぐ構成になっているのが駄作たる所以なのだろう。同時期でいえばゼノギアスのディスク2なんかもいい例だが、当時は設定作るだけ作って、大風呂敷畳むのに苦労するのがトレンドだったに違いない。どちらがいいかというと好みで分かれてしまうだろうが、少なくとも自分は当時のノリが好みではある。


 ドローシステムやらジャンクションシステム、給料制など、世界観にガッツリ縛られて生まれたゲームシステムも、ややバランス調整には失敗しているが味わい深い。プレイヤーに馴染みのない世界観を、ゲームプレイから浸透させていくスタイルは多くのFFシリーズで共通しているが、中でも8は典型的といえるだろう。
 長いローディングや、シングルスレッドぽくイベント中いちいち時間が割かれるモーションは煩わしいが、壮大な世界観が浮いてしまわないような、可能な限り自然な、大規模でリアルなものを作ろうという意志が伝わってくる。


 まさに大作を創りあげよう、時代をリードしよう、という意欲がビリビリと伝わってくるゲームだった。
 ウン百万人にプレイされたゲームで今更にもほどがあるが、今やってもなおそう感じられるのは凄いことではないかと思う。
 コスト度外視で最後まで妥協せず作り上げていたら…物凄いゲームになれていただろう。惜しいゲームだなと思いつつも、溢れんばかりの野心は今でも感じ取れる。
 レトロゲームと呼ばれるぐらい古くなったゲームだが、あえて今遊ぶことに価値はあった。
 それにしても減ったね、こういう無茶なゲーム。