ジョジョの奇妙な冒険
1〜2部の、いわゆる波紋編でひとまず完結。
いやー、やっぱりジョジョなんだよなあって感じで、ジョジョの面白さを再確認させられるアニメでした。
元々癖の強い漫画だったのでアニメ化も難しかったはず。よくもまあここまで忠実に原作再現したものだ。
しかしながら、忠実すぎて不安になるシーンも多々あった。例えば、擬音をそのまま作画に乗せたり、長ったらしい解説台詞をそのままナレーションやキャラクターに言わせていたり、といった点。従来のアニメではまず削り落とすであろう要素を尽く優先して描写していたのが印象的。
実際にアニメーションとして見てみると、ギャグっぽく感じられるシーンになっていたのが残念だが、それだけ原作がうまく読者を乗せていたということなのだろう。
原作ファンの中でもアニメに対する評価は完全に二分されていた。「ここまでギャグな内容じゃない、もっと真面目な感じで描写してほしい」という意見もあれば、「いや、こういったギャグっぽい要素も含めて荒木ワールドだ」という意見もあった。
荒木飛呂彦の世界、荒木飛呂彦の漫画家としての技量に翻弄された形になったアニメでしたが、個人的はとても満足しています。
ところどころ違和感こそあったものの、やはり踏ん張るところで踏ん張っていたのが良かったのでしょう。
むしろ自分としては、パッとしない印象のあった1部の面白さを再認識させられたのが収穫でした。
2部と4部が大好きな自分としては、読み直すときも常に1部はざっと流し読んだり、あるいは読まなかったりといったことが多かったのですが、このアニメで1部の良さを再確認。これだけでも十分に価値あるアニメ化だったと言えます。
連載された時代が時代のため、全体的に古いノリ、懐かしいノリで構成され、作画枚数は少なめで、洋楽RoundaboutをEDに起用…といったように、いわゆる2013年時点でのアニメ界の常識やら流行から完全に外れたものが作られていました。
荒木飛呂彦ワールドを再現するためにあらゆる常識を犠牲にしていた。良くやった、良くやってくれた。
個人的には作画枚数が少ないのは素晴らしいと思っていて、最近の「作画枚数が多いほど良作画」という風潮が、これをきっかけに少しでも無くなればいいなと。
「プリレンダムービーが多ければ多いほどいい」「プレイ時間が長ければ長いほどいい」とされていた古き悪しき家庭用ゲームの悪い習慣をなぞってるみたいで苦手なんですよねあの風潮。
こういうものでも通用する、と示してくれたことがアニメ業界にプラスになってくれればいいかな。
スタッフからの原作への敬意を十二分に感じるアニメでした。
賛否も分かれるでしょうが、逆にこの漫画をすべてのファンが納得する形でアニメ化するのは無理があるんじゃないかなと…
あと、OPとEDばかり注目されがちですが、それ以外の音楽もとても良かった。
ジョジョというのは音楽と切っても切り離せない関係なので、今というタイミングであっても、あえてアニメ化する意味はあったのだなと。