放課後のプレアデス

 最高のアニメ。俺が見たかったのはこういうアニメ。
 アニメオブザイヤーがあるなら今年はこのアニメかなと思った。
 正直言って、初見の印象は決して良くはなく、「何者にもなれないアニメ」とさえ感じましたが、1話1話と話が進むごとにどんどん引き込まれていき、気がついたときには、少なくとも春アニメではこのアニメに比肩する存在はいなくなっていました。


 なんといっても広大な宇宙描写。宇宙空間で戦闘するアニメは多々ありますが、宇宙を宇宙として描写するアニメというのは数が限られます。せいぜい無重力、宇宙遊泳程度の扱い。
 いわゆる天文アニメという分類かもしれませんが、宇宙空間を全力で描写しようとする姿勢からはガイナックスの意地のようなものを感じます。暗くて大きくて恐ろしく、しかし無限に魅力的な存在、それが宇宙なんです。
 宇宙や科学にある程度の重きを置いており、かつガイナックス製作ということもあって、トップをねらえ!を意識した描写がいくつか見られます。トップをねらえ!は偉大すぎるアニメですが、トップを超えようともがいた、いや、ある意味超えたかもしれない。そんなガイナックスの傑作。放課後のプレアデスは、少なくともそんな「何者か」になれたアニメでした。
 宇宙描写は魔法という概念でかなり誤魔化してるところも多いんですが、まあそこは魔法だからいっかという気分になる程度には許せる描写です。科学と魔法が混ざり合うことで混沌を感じることもなく、ほどよいバランスで、ああ、仮に魔法を使って宇宙に行けたらこんな感じかな、みたいな、フィクション全開のくせに妙なリアリティのある不思議な空間がそこにはありました。
 SF方面の楽しさは言わずもがな、ところどころに散りばめられた印象的な台詞や哲学的な展開には舌を巻きました。
 作画も演出もいい。特にドライブシャフトを使った高速移動の迫力。宇宙を舞台にした派手な物理現象の数々(だいぶ魔法で誤魔化されてそうだけど)。その美しさと迫力に圧倒されました。
 話数を重ねるごとに宇宙の活動規模を広げつつ、各キャラクターの抱える問題を1つずつ解決していくのがまた上手い。解決の仕方もざっくりとした乱暴なものではなく、とても丁寧で優しさがあった。
 そしてキャラクターは全て魅力的。個人的には会長といつきちゃんが好きです。いつきちゃんやばいですめっちゃ可愛いです最高です。


 いやもう最高でした。悪いところなんて一切無い。100点満点なら120点あげたいアニメ。
 強いて言うなら1話の印象が弱いけど、しかし終わってみるとあの1話で良かったと思います。
 物心ついたときにアニメの21エモンで宇宙に興味を持ち、宇宙と名の付く本を読み漁った幼年〜少年時代を思い出しました。
 埋もれること無く、消費されることも無く、10年後も20年後も残る傑作だと思います。