Red Dead Redemption

 クリアしました。具体的に言うとスタッフロールまで見ました。
 何から話せばいいやらわからんぐらいに、素晴らしく美しいゲームでした。芸術でさえあった。


 このゲームは去年発売されたオープンワールドアクション。20世紀初頭のアメリカ・メキシコが舞台。
 基本的にオープンワールドは自由度高くて楽しいんですけど、メインミッションを遊ぶよりも寄り道の方が楽しくなって、結局クリアに至らなかったゲームが自分の所持ゲーにもいくつかあるんですけども。
 このレッド・デッド・リデンプションはメインのお話がとても面白くて、どっぷり没入できた。


 グラフィックはオープンワールドということを意識させないほどに美しく、昼間のメキシコにはあまりの美しさに呆然と立ち尽くした。
 しかしこういった世界の美しさとは裏腹に、人々はとても病んでいた。初見でマトモそうに見えた人が実は下衆野郎だったり、イカれてるようにしか見えない奴が案外信用できたりと、なんともよくわからない世界観で、でもなんだかとても人間らしくもあった。


 そんな中でもブレないのがジョン・マーストン。THE・主人公。
 この荒廃した世界で唯一といっていいほどに強く、(過去に目を瞑れば割と)マトモなカウボーイ。操作するのが自分なので、プレイ内容次第でこいつも下衆野郎に仕立て上げることが可能ですが、俺は結局そういうことはできんかったなあ。
 自分は自由度の高いゲームでも善人プレイをしてしまう体質ではありますが、しかしそれ以上にこのマーストン、カッコええんです。家族想いで優しくて、強く気高くて、意外と紳士で、お節介焼き。こんな人間に悪いことはさせられません。


 で、主人公は良い奴なのですが、先述のようにこの世界の人々は実に下衆です。クズだらけです。良い奴は大体弱者です。強者は大体イカれていて、弱者を虐げています。いや、弱者にもクズな奴がいるのでもう本当にクズだらけです。
 そんな世界だからこそ、プレイヤーたる自分はこのジョン・マーストンを操ってこの腐った世界を変えたいと願います。おそらくここが肝心で、そういった願いを持てない人にとっては既存のオープンワールドアクションゲームと大差を感じないかもしれません。
 メインミッションを進めていくと、結局はこのマーストンも強者にいいようにされてしまう、悲しい弱者であることがわかるようになります。しかしマーストンとプレイヤーは、それでも抗い続けます。
 抗いつづけて、その果てで、マーストンとプレイヤーは一体何を見たのでしょうか。これはプレイヤーによって様々であると思います。


 単純にグラフィックも美しいのですが、どうしようもなく醜い世界に抗いつづける「ゲームプレイそのもの」が美しい。そんなゲームでした。
 常々、ゲームをプレイした人間にしか得られないものが無ければ、それがゲームである必要は無いと思っていますが、このゲームほどそれを感じたことは無いかもしれません。


 ローカライズも素晴らしいです。他の字幕と被って台詞字幕が見られないことがあるのは残念ですが、翻訳のレベルはとても高いと思います。Take two最高!
 戦闘はTPSなのでシューターに慣れない人には難しいかもしれませんが、2、3本TPSを遊んだことがある人にとってはかなり簡単な部類に入ると思います。オートエイムとデッドアイ(スローモーション機能)のおかげで、大抵の戦闘ではほとんど無双状態になれます。


 馬で走り回るだけで「うひょー楽しい!」ってなるぐらい、少し遊ぶだけでビリビリくるものがあるゲームだと思います。
ちょっとでも興味のある人は皆遊んでみればいいと思います。