スカイリム旅日記 第三話「クソガキパラダイス」
朝を迎えた。
スヴェンと一緒に泥棒退治へ向かおうと思い、宿屋を探してみるが彼の姿が見当たらない。
どうやら彼は夜行性のようだ。プレイボーイ!
仕方が無いので一人で泥棒退治へ向かうことに。
道中、何の変哲もない農場で戦闘が行われていた。
明らかに巨大な人間が一人と、それと戦う人々が数名。
『おいおい、弱いものいじめか?』
と思いながらぼーっと見ているとサックリ巨人さんは息絶えてしまった。
『大きいと寄ってたかっていじめられちゃうのか…なんてかわいそうな』
背が高くて目立つがゆえにいじめられっ子だったクラスメイトを思い出し、不憫に思っていると。
突然話しかけられた。
『「それ」とはなんだ!確かに大きいが、人に対して「それ」は無いだろう!スカイリムの民はちゃんとした躾を受けとらんのか!』
と、憤ってみたがもはや過ぎてしまったこと。事情もわからない俺にはこれ以上この件に介入する余地は無いだろう。
女は意味深な言葉を残していたが、こんないじめっ子に関わる義理はない。
俺は当初の目的を達成すべく、泥棒の潜むブリーク・フォール墓地へと向かった。
墓地には山賊がいたが、とてもか弱い奴らだったので楽々撃破。
『いや、こいつらが弱いんじゃない、俺が強いのさ…!』
気分を良くした白肌ンゴは、お宝を回収しつつ奥へと向かった。
奥へ向かうと助けを求める人間の声と、ドデカイ蜘蛛がいた。
「アイムアハングリースパイダー」
『ユーアービューティフルバタフライ!』
『今死んで永遠にしようか』
槇原敬之の歌を思い浮かべながら戦っていたら死んでしまった。
しかし白肌ンゴは主人公なのでよみがえる。
『よみがえれるからって、死ぬのも楽じゃないんだよ…』
主人公の命を軽んじるプレイヤーに対して悲痛な叫びを残しつつ、気を取り直して別のおつかいの目的地、ホワイトランへ向かうことに。
ホワイトラン到着。
門番に止められそうになったが、おつかいの内容を伝えるとあっさり通してくれた。門番ちょれえ。
(し、修羅場だー!)
適当に散歩していたら修羅場に遭遇してしまった。夫婦喧嘩の内容に国境は無いな。
いたたまれなくなりその場を退散したが、また変な事件に遭遇。
(か、カツアゲだー!)
女の子が男の子から金を巻き上げている!しかも脅し文句がジャイアン同然だ。ジャイ子みたいな外見の癖に。
二次元だろうが三次元だろうが暴力女はノーサンキューだ。ここは大人として叱ってやらなければ!
いやしかしいきなりよそ者がこんな幼女に説教してたら俺の方こそ通報されかねん…ううむ
などと迷っていたらカツアゲタイムは終了し、女の子は去っていった。
男の子の方は特に金品を巻き上げられることもなく、暴力もされずなんとかやりすごせたようだ。
『まったくのび太系男子というのはいつの世も苦労するものよ』
世の中の不条理を分かち合うべく、男の子と軽く雑談などした。
おめーも地味に悪ガキじゃねーか!
つーかこのスカイリムのガキはクソガキだらけだな!
どうでもいいが、「バトルボーン」なんて立派な戦闘民族系の名前をもらっておきながら、やることはイタズラ、やられることはカツアゲって、おめー実はどうしようもねえクズだろ!
と、罵倒したくなったが口には出さなかった。よそ者の俺がそんなこと言おうものなら通報されるからだ。
『結局俺も、か弱いのび太系男子か…』
自分の境遇と、ショタや幼女に希望を抱けない現実に悲しくなってきた。
まあいい、こんな奴らは放っといておつかいだ。
首長に謁見。
この首長がなかなか話のわかるオッサンで、ドラゴンの話もすぐに信じてくれたし、お礼に鎧までくれた。正直お礼は期待していなかったのでこれはありがたい。
常に「偉大なる」という接頭辞が名前の横についててはじめはウザかったが、そんな接頭辞がつくのも今では納得だ。
そして次のおつかいを命じられる。
ブリーク・フォール墓地へ向かえとのことだ。
奇しくもそこは泥棒退治の目的地だ。というか俺が死んだ場所だ。
『あのデカグモにリベンジせにゃあな…』
『もう槇原敬之の歌なんて思い浮かべないなんて言わないよ絶対』
結局どっちなのかよくわからないまま、夜は更けていった。