たまゆら〜hitotose〜

 遅ればせながら全話視聴。
 広島の竹原近辺を舞台にしたアニメ。


 これはもう広島県全域で道徳の時間に流すべきやね。深夜アニメにしておくには惜しい健全さ。
 最近は女子高生の集団がアニメに出るとどーも無駄に百合展開になったりするものですが、このアニメは全くそういうことがなく、ごくありがちな友情が描かれていました。なんのひねりもない、しかしかけがえのない、等身大の女子高生がこのアニメにはいたのかもしれません。
 でもかおたんとかふーちゃんすげー可愛いよな…まあ萌え要素も十分にあり。


 しかしそういった萌え要素は、同類とみなされるアニメと比べてかなり薄い方だと思います。
 あくまでも、毎話フォーカスされるのは主人公たちの悩みであったり、人々のなんでもない生活風景であったり、竹原の景色そのものであったり。
 そう、竹原という街そのものが描かれていました。このアニメの中心は竹原という街だったと、言い切ってもいいでしょう。
 自分にとって、過去に竹原を訪れた体験は数えるほどもあったかどうか記憶にもないですが、馴染み深い瀬戸内海の風景には懐かしさを感じました。そしてなにより、美しい。写真を題材にしていることもあり、風景の描画への力の入りようは凄まじいです。山と島と海が混在するあの景色が、自然と涙を誘います。


 また、移り変わる風景と相まって人々の心の移り変わりが見事に表現されていたと思います。人々の会話・仕草だけでなく、その場の景色が人を動かしているように見えました。
 このアニメをきっかけに、写真や絵画に興味を持つ人は多いのではないでしょうか。アニメなので基本的に全部絵なんですけど、写真の力と絵画の力はそれぞれ別のものとして表現されていたと思います。なんだか不思議な気持ちになりました。


 大人になって、郷里を離れた今、このアニメを見て感じることはとても多いです。
 道徳の時間に流すべきとか冒頭で言いましたが、実際このアニメのターゲットは大人だと思います。
 あの山のように、自分は輝けているでしょうか。ふと考えなおしてみたくなる、そんなアニメでした。
 そんなわけで毎話ボロッボロ泣かされました


 ただ、広島弁の使い方はなんとなく残念な感じでした…
 特にほぼろさん、中の人は広島出身らしいのだけど、凄く不自然だった。台本が悪いのか、意識すると広島弁は難しいのか、わかりませんが。
 「ぶち」はもっと使っていいし、「たう」とか「いたしい」とか「みてる」とか「たいぎい」とか「やねこい」とかメジャーな広島弁(というか瀬戸内弁)はいっぱいあるじゃろー!
 まあ使う機会は無かったかもしれんけど…しかし広島弁要素が物足りぬ。はっきり言って広島弁と呼ぶにはあまりに不自然だ。達川の解説とか聞いて勉強するべきだ。そういえば広島カープの話題も無かったし、広島人としてはその辺もありえないな。カープがダメならサンフレッチェじゃ。どっちでもええから強引にでも入れーや。福山より西なら基本カープサンフレは欠かせんじゃろう。
 てな感じで広島出身の自分としてはいくらか物足りない要素がありました。


 そんな中でも、堂郷先生の地元ダジャレ(?)はなかなか良かった。
 あと、なんかイベントがあったり女子高生が遊ぶ場所が基本呉で笑った。そうか呉は大都会だったのか。
 広島人は見てやって呉線