Flowery
この度、PS3購入を機に遊んでみました。
2009年のゲームですが、今遊んでも全く古臭さを感じない、芸術でした。
このゲームで操作するのは花びら。
SIXAXISの傾き操作で視点を変更し、ボタン押下による加速でマップを動き回ることが可能。
マップに咲く花に接触すると、その花びらが一枚後ろからついてくるようになる。特定の花に一定以上接触すれば、移動可能な範囲が増え、そのうち出てくるゴールを目指す。
実に単純なゲームです。
デモ、と読んでも差し支えないでしょう。
これはプレイステーション3のグラフィックやSIXAXISの操作をデモンストレーションするためのソフトウェアであり、プレイヤーを熱中させるようなものではないし、デモにしてはグラフィックだってそんなに良くはない、おまけでついてきてもいいようなゲームではないか、こんなもの。ゲームとしても単純で、なぜこれが高評価なのか。
と、少なからずプレイ前は感じていました。しかし。
プレイしてみるとその映像と音楽の美しさに魅了されます。
多くは語られませんがしっかりと筋の通ったストーリーがあり、これがなかなか胸打つ内容です。たかが花びらですが、生命の力強さや儚さをコントローラ越しにここまで感じさせるとは。
景色に色がつく、といった表現が相応しいでしょうか。ゲームをプレイしている、というより絵を描いている、いやむしろ絵を描くのを手伝っている、という感覚になります。今思えばそんなんでいいのか?と問いたくもなりますが、プレイ中はもう口開けて夢中になってたもんで。
美しい音楽との相乗効果で涙がこらえきれなくなるシーンが何度もありました。序盤はまだいいのですが、終盤はやばかった。
最後まで、けしてグラフィックがいいゲームとは思えませんでしたが、ただただ「美しい」と感じるには十分なものでした。ポリゴン数増やせばいいってもんじゃあないですね。
このゲームをただ映像で見ても特に感じるものは無いと思います。なんせ主人公は花びらです。感情移入しろ、という方が難しい。
しかしこれが操作対象になると見方が変わってきます。自分自身か、あるいは我が子のように扱うからこそ、終盤は手に汗握るし、ラストステージなんて感無量でしょう。巧みなレベルデザインのおかげで、突き詰めれば作業ゲーの割には冗長さを感じないのも大きい。
本当に素晴らしいゲームでした。
やはりこういうゲームがあってこそ、ハードが生きるのではないでしょうか。
ほんとソニーはもっとね、自社タイトルを充実してほしいものですね。やればできるんだから…こんなに良い物作れるんだから…