ソ・ラ・ノ・ヲ・ト

 歳を重ねるにつれて涙腺がゆるくなるのは本当だろうか?真偽はどうあれ、流した涙を偽ることはできません。


 録画していた再放送分を一気に見ました。あー、なんつうかもー、最高でした…
 濃ゆい世界観とは裏腹に展開は定番なのですが、綺麗なんですよ美しいんですよ、何がって、すべてが。
 テーマもしっかりしているしタイトルに偽りなし。キャラは立っているし行動が一貫していて、違和感もなし。無用としか感じられないような、思いつきで挿入されたテコ入れもなし。


 圧巻は作画。特にタイトルにもある「空」の描写には相当にこだわりを感じます。エンディング映像を見るだけでも気持ちの入りようが伝わってきます。エンディングではどこまでも美しい空ですが、そんな空を様々な角度から見つめたくなるような、引き込まれる力を感じました。また美しい面だけではない、空のもつ別の姿も描きつつ、さらに美しい音楽を運んでくれる素晴らしい舞台であるとして、度々クローズアップされる空といい、空を題材としたこのテーマといい、何もかも美しすぎて涙が止まりませんでした。
 また、軍隊での生活が描かれているとはいいつつ、全体的には反戦のノリなので戦闘描写は非常に少ないのですが、かといって戦闘部分に手を抜いているなんてことは全く無く、たまに挿入される激しい戦闘描写、精巧なメカニック描写には、「ここまでやるのか!」と驚かされました。本当にいいものを作ってやろう!という思いがビリビリと伝わってきます。
 手抜きの全く見えない、本当に素晴らしいアニメです。


 脚本が優れているのか、特殊な世界観にも早い段階で馴染めたと思います。
 もともと、自分は軍隊ノリが好きなのでそれ目当てで見始めたのですが、やはり見る前は濃厚な戦闘描写ばかり期待していたため、この日常パート多めの内容には正直面食らってしまいました。
 が、特殊な世界観にはすぐに引き込まれ、この魅力的な世界をもっと知りたいと思えるようになりました。激しい戦闘描写は大好物ですが、そんな戦闘の日々になってほしくないと思えるようになりました。気が付けば、このアニメの世界やキャラクターに心底感情移入していました。
 期待とは異なるものだったにも関わらずここまで引きこむとは、凄いアニメです。本当にこのアニメを作った人たちは、職人なんですね…プロなんですね…
 なにかこう、単純にアニメの内容だけでなく、その出来栄えやプロ意識についていろいろと考えさせられました。


 それにしてもまったくタケミカヅチはかっこよすぎだろう…!最終話は永久保存です。
 正直、ロボットとか戦車とか大好きなのでもっとタケミカヅチの戦場での活躍を見たいのですが、しかし物語的にタケミカヅチは戦争目的で使われないのが好ましく、全く悩ましいところだ…


 いやあもう最高すぎて信者になってしまいました。
 荒廃した世界観、失われた文明、音楽という主軸、女の子の軍人部隊、なんて言葉から視聴初期は「ターンAけいおんウィッチーズ」なんて呼んでからかってましたが、いやーもうこれはソ・ラ・ノ・ヲ・トというアニメそのものですわ。他の何と比べてどうというわけではなく、凄く自立したアニメだったと思います。
 軍隊物にもかかわらず、一つの街に根付いていたのがまた印象的でした。


 美しい、もう一言で言えば美しいアニメです。自分は、こういうアニメをもっと見たいです。
 死ぬ前に思い出したくなるアニメがまた一つ増えました。今日はいい日だ。