TARI TARI
一言で言えば最高でした。
江ノ島を舞台にした高校生の青春物語。
些細なきっかけで出会った同じクラスの男女が合唱部を作り、個人個人の抱える悩みを解決しつつ、部活動を進めていく。
言ってしまえばありがちなストーリーですが、各キャラクターの生き方がとても真っ直ぐで、ときに青臭く、しかし爽快で、とにかく見ていて気持ちよかったです。
何と言っても印象的なのが、勝ち負けにフォーカスが当たっていないところ。顕著なのが白祭のメインステージ選考会でしょうか。
それ以外の数々の発表の場でも、「大勝利」や「大盛況」といった結果は暗示させる程度で、その歌っている「今」そのものにフォーカスが当たっていました。
その方針は最終回でさえ変わらず。思い切った構成だと思います。
結果は大事ですが、「大成功」という結果をもって過程まで「成功」と解釈させる手法は多くのフィクションで見られます。
どちらがいいというわけではありませんが、少なくともこのアニメではそういった手法をとっていません。
今という時代を後悔しないように、一生懸命に生きている、その姿の美しさをこれでもかと見せつけてくれるアニメ。見せたいものが生き様なので、結果はさして重要ではないのでしょう。
何気に胸に手を当てて考えたくなる名言も多いアニメですが、特に胸打たれた言葉があります。
「今のメンバー、今の気持ち、今の歌は、今しか歌えない」
名も無き爺さま*1の台詞ですが、このアニメを象徴した素敵な言葉だと思います。
何もかも移り変わっていくのが世の中であり、人ですが、その中で今を必死に生きることの大切さを見せつけてくれました。
昔の仲良しと今会って仲良しになることは容易なことかもしれませんが、昔と今で同じメンバーで同じ事をしても、全く同じ経験にはなりません。そして、同じメンバーで集まる、なんて機会はどんどん減っていくものです。
そんな中では、遊び、部活、勉強と、何をやったって、今しかできないことに変わりはなく。だから一生懸命やる、結果なんてあとからついてくる。
強い意思をビンビンに感じさせるアニメでした。
とにかく嫌味なく爽快なアニメなので、一見の価値有りです。
こんな高校生活を体験したかったもので。
*1:重要な役のくせに本当に名前がないので笑える