翠星のガルガンティア

 どのジャンルに属するとかそういった区分を感じない珍しいアニメだった。
 各話それぞれにテーマがあったと言ってもいいほどで、どれもいい感じでまとまっていたように思う。しかし視点が変に分裂することはなく、常に異邦人であるレドとチェインバーの視点で物語が進んでいたため、視聴していて置いてけぼりにされたと感じることも無かった。


 テーマは数多くあるんだが、その中でも特に、推論と推論の衝突やAIの学習をしっかり描写していたところが個人的にとても好み。安易にロボットに感情を与えることなく、推論を重ねて学習させていく過程はなかなか考察のしがいがある。
 ちょうど同時期に放映されていた某革命機の会話のノリが論理として破綻しすぎていたので、なんだか良い感じで中和された感もあり。


 作画、特に背景が物凄く、海と空と船以外ほぼ何も無い世界がこの上なく美しく描写されていた。
 登場人物に関しても、キャラクター原案の鳴子ハナハルの絵柄を見事に再現していたが、背景にしたって鳴子ハナハル渾身の一枚絵を見ているかのような美しさ。これだけでも十分に見る価値がある。


 終わってみれば第一話Aパートで繰り広げられたようなロボットアニメっぽい成分はほとんど無かったが、適度に戦闘っぽいこともあり、適度にスパロボ参戦できそうな可能性も残しつつ、まあ欲張りなアニメだったなという印象。
 欲張り過ぎて思ったほど壮大な内容にはならなかったが、まあ1クールならこれぐらいのスケールがちょうどいいのかもね。キャラの掘り下げもかなりアッサリ。
 正直なところもう2〜3クールぐらい展開を増やしてもいいぐらい、全ての素材が良質なアニメだった。かなり好み。