Grand Theft Auto V

 誰が死んだって納得できる、そんな選択をした。

 たいへん美しいゲームだった。
 倫理観の吹き飛んだ人々に囲まれて過ごす日々。キチガイだらけの世の中だけど、そんな彼らもそれぞれ一人の人なのだと思い知る。そんな人達で構成される、この世界が美しい。
 不幸な境遇にもめげず底抜けに良い奴のフランクリン。身勝手で口下手で自己中だが、家族想いのマイケル。明らかに異常者だが誰より繊細で寂しがりやのトレバー。
 主人公の3人は全て魅力的で、おかげで最後までストーリーにはのめり込むことが出来ました。


 やたら長いスタッフロールからもわかるようにすさまじい規模で開発されることで有名なこのシリーズ。
 それだけに世界からの期待というのは毎回計り知れないものがありますが、難なく期待と同等以上のものを与えてくれるのだから、そりゃあ凄いことです。
 洋ゲーに限ったことではなく、どんなシリーズだってどこかで人気も落ちぶれるものですが、一切そういったものを感じさせない。関係者の気概みたいなものを感じるゲームでした。
 テレビやらWebサイトやらスマートフォンやら、細かいところまで作り込んでいてやばかった。こんなキチガイみたいな仕様でちゃんとした製品を出せるのはGTAだけでしょう。


 言うまでも無いことですがオープンワールドゲームとしてはかなり高水準。シリーズ最大規模だけあって、フィールドの全てを見て回るのは骨が折れます。
 グラフィックも美しく、遠目に見ればほとんど写真。しかしそろそろ今世代の限界が見えてきた空気です。
 観光ゲームとしては味気ないかな。アメリカらしい感じではありますが、この手のアメリカンな地形はさすがに見飽きました。そろそろ日本を舞台にしたGTA出ないかなって期待してるんですが、まあ難しいかな。


 ローカライズは非常に良好で、さすが我らがTake two Japanって感じですが、欲を言うとラジオとか通行人の会話とか、そのへんもちゃんと翻訳してくれたらなーって。
 特にラジオはストーリーに関係するニュースが流れることもあったので、とても惜しい。ここが翻訳されていたらもっと没入できたんじゃないか?もっとGTA5を楽しめたんじゃないか?小さいこととはいえとてもやるせない。

 まあそれはそれとして、夜景とか朝日が超美しかったです。
 GTA、よく有害ゲームって言われるし、実際強盗で得られるお金が半端無くて凄く悪い顔になってしまいますが、根幹は犯罪ではなくオープンワールドですよ。
 広い、一つの世界で、どのように生きるのか。その選択の一つを提示しているに過ぎないんです。
 本当に、良いゲームだった。