KNACK

 難易度普通でクリア。
 いやー凄い、凄いゲームだったね。


 先にいいところを挙げようじゃあないか。
 塊魂を彷彿させる、部品(レリック)を使って身体を大きくしていき、強くなっていくコンセプトはいいですね。レリックを吸収した時にコントローラから流れる「コリコリコリ」って音が気持ちいい。
 レリックは細かく小さなオブジェクトで、その集合を個別に物理演算してるのはなんともマシンパワーを感じます。ここは次世代機ならではだね。マシンパワーを感じるにはいいデモンストレーションなのかもしれない。
 グラフィックも良かったな。ローンチでこれぐらいなら上出来じゃないか。マップの見栄えもいい。


 でも他は全部クソだったぜ!


 まずチェックポイントがひどかった。間隔が大きく、おまけにチェックポイントではセーブがされない。セーブされるのはチャプター切替時だ。
 敵がなかなか強いので何度もリプレイでやり直すことになるのだけど、その度にこの融通効かないチェックポイントに戻されるとボディーブローのようにダメージが効いてくる。プレイヤーをじわじわ苦しめる効果的なチェックポイントだ。


 レベルデザインもたいがい酷い。一段ジャンプで越えられそうで越えられない段差(二段ジャンプなら越えられる)に何度ストレスを感じたことか。そして似たような道、似たような広場が最初から最後まで繰り返し出てくる。コピペでは無いはずなのに、デジャヴを感じる。
 主人公は落下死するのに敵を崖から突き落とすことはできないのも気になった。結局やることは広場みたいなところで敵の攻撃を避けて殴るだけ。マップが戦闘要素の面白さに貢献していない。ただの障害物。探索要素もそれっぽい壁をぶっ壊して隠し通路を発見するだけ。その辺の壁に向かってブンブン拳を振り回すナックの姿はなんとも滑稽でした。マスコットキャラクター的には可愛くていいかもしれない。
 必死で探索して得られるコレクションアイテムも、ほとんど終盤になるまで役立たず。一応パワーアップ用のアイテムのはずなんだけど、数が足りなくて全然パワーアップしないんだよね。道のりがかなり長い。RPG的な成長要素を極力排除したいという純粋なアクションゲーマーな製作者の熱くたぎる想いを感じるね。
 カメラワークも10年位前のJRPGみたいだね。部屋の移動とともにパッとカメラが切り替わる。いや、10年くらい前だったらアクションゲームもそういうカメラが主流だったけど、まさかこの2014年にプレイステーション4で体感できるとは思わなかったよ。急に視点が変わるから操作してて慣れが必要なんだよね。独特の操作感だね。


 一番アレなのが敵の行動パターン。まあやたらと小賢しいもので、小賢しいという概念の権化だね。
 遠距離攻撃と近距離攻撃を三人ぐらいで組み合わせてきたり、伏兵や時間差による波状攻撃はお手のもの。こちらが必死で接近して攻撃を打ち込もうとしても、バクステで逃げられたり。ほんと小賢しい。
 敵は一撃一撃の攻撃力が非常に高く、一撃死するシーンなんかも多いのでかなり繊細な回避が求められる。基本的には攻撃よりも回避が主体で、かつ敵も回避しやがるので、必然的に戦闘が長引くんだよね。プレイ時間を増やしてお得感を感じさせる戦略だね。たくましい。
 おまけに敵はフレンドリーファイアが無いので、やたらと思い切った行動をしてくる。接近時、爆弾兵が自身の足元に爆弾を落としてくることがあるけど、あれはやり過ぎだろう。奴ら自分の爆風でダメージ喰らわないからもうやり放題だよ爆弾兵。こんな自爆まがいの攻撃がアリなんだから恐ろしい。教育上良くないのでそこは死んどけ。


 その辺の敵の行動は多彩なのに主人公のナックができることは右スティックによる回避とジャンプとパンチとジャンプ攻撃と必殺技。必殺技はそんなに多用はできないので、結局やることは右スティックで回避して攻撃、ジャンプで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃、ジャンプで回避して攻撃、ジャンプで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃、右スティックで回避して攻撃…
 というプレイがずーーーーーーーーーーーーっと続く。最初から、最後まで。なにも、変わらない。ぶれない一貫性ってやつだね。
 これが何を意味するのかは自明で、誰が遊んでも似たようなプレイになってしまうわけだ。そんなことない!自分は違う!って人がいたら見せてもらいたいとこだ。それは凄いことだから。


 あとはちょくちょくムービーが挟まってくるのと、ムービーで移動してるシーンが多いのが凄く気になる。
 アクションゲームなんだからそこは全部動かさせてくれよと思うんだけど、移動の制限とかスペック的なものか、難しいんだろうかな。RPGなら許されるんだけどこれ。


 ストーリーもまあびっくりするぐらいつまんないんだけど、でもまじめにギャグやってる感じがけして嫌いにはなれないところではあるな。たまに笑えたのでそれは良かった。
 時折混ぜてこられる唐突なトドメ演出(スローモーションになるだけ)は凄まじく寒いんだけど、最後らへんは逆にこのゲーム独特の味になっていたかもしれない。
 操作性もけして良くはないんだけど、特に一段ジャンプでは軌道を変えられなかったり(二段ジャンプで変える感じ)するところは気になったものの、しかし敵を追尾する攻撃アクションは悪いものじゃなかったね。適当な操作をある程度許容してくれる。その代わり回避は絶妙な操作が求められる。
 あとは死んでも必殺技ゲージは元に戻らず、溜まったままになるので、少々難しいところでもスパロボの全滅プレイ的なことをしていればいつかは前に進めるバランスだった。結構難しいゲームだったんだけど、それぐらいの配慮はあったな。


 でもやっぱりクソだったぜ!
 ポテンシャルはあったはずなんだけど。どうにも活かしきれなかった。そんなゲームだった。
 無料同然で付属してきた同梱ゲームにこんなに文句言ってもしょうがないかもしれんけど、同梱ゲームだからこそもうちょい頑張って欲しかったな。
 最新の据え置きゲーム、こんなもんか、って思われちゃうでしょ。それじゃだめでしょ。別に値段を見てゲームやってるわけじゃないんだから。