エンドオブエタニティ

 体験版プレイ時に戦闘システムの奥深さの片鱗は理解していたつもりでしたが、ここまでのゲームとは…これはもう最高のRPGじゃないでしょか。


 やはり特筆すべきは全体の7〜8割を占めるであろう戦闘パートを支える戦闘システム。言葉で語れるほどシンプルなシステムではないので詳細は割愛しますが、自分は格闘ゲームに近いと感じました。
 浮かせ、叩きつけ、裏回り、ゲージ溜め、ゲージ破壊。ターン制に近い戦闘システムのため格ゲーほどシビアなタイミングや操作は要求されないですが、相手にいかに行動させず蹂躙するか、その戦法を考え、実践する、という点においてはとても近いものを感じました。格ゲーRPGというものがあればこういうものじゃないかと思います。
 物凄く奥深い戦闘システムですが、反面どう考えても繊細なバランス調整が必要なはずです。事実、詰み一歩手前の場面が何度かありました。多くの場合はちょっと闘技場に籠るだけでどうにかなるレベルですが、なにせ戦闘が多すぎる。進めるにせよ、鍛えるにせよ、戦闘が戦闘を呼びます。とにかく1にも2にも戦闘です。こんなんでバランスが取れるのか?クリアが可能でも単調作業の繰り返しが発生すればそのうち飽きるんじゃないか?という疑問を始めのうちは持っていました。
 しかしバランスが悪い、なんてことは最初から最後まで一切感じることはありませんでした。これ、このバランスなんです、このバランスがいいんです。絶妙なんです。ここがしっかりしているから最後まで飽きずに楽しむことができるんです。
 考えて遊べばレベルがポンポン上がっていくバランス。しかしレベルを上げたから必ず楽勝かというとそんなこともない。格ゲーで強キャラを使っても適当に何も考えず遊んでいたら弱キャラに負けるように、少し油断するとゲームオーバー。頭を使わせる、というより、頭を使って勝ち進んでいると錯覚させる構成です。

 この他にもマップをパズルのように解放していくシステムや、銃のカスタマイズなんかも独特で面白いです。
 特に銃のカスタマイズは良い意味でアホらしく、「その装備で強くなるのかよ!」みたいなツッコミをするのもバカバカしい、実に清々しいぼくのかんがえたさいきょうの銃ができます。以下に終盤のカスタマイズ画像を貼り付けていますが、こんなの序の口です。

 ドットサイトとは、スコープとは、銃の強さとは、装飾とは、かっこよさとは、いったい。
 そんな疑問に大真面目に取り組んだ数多のFPS/TPSと同じように、このゲームは大真面目に銃のカスタマイズにこだわっていました。パーツを付ければ付けるほど強くなるので気持ちいい。
 銃のゲーム、こんなんでもいいんじゃないのか?そんな、新しい価値観を貰えた気がします。
 惜しむらくは、このカスタマイズが戦闘中の見た目にに反映されないところでしょうか。でもまあ、普通に考えて、戦いづらそうな見た目になるだろうから、そこはかっこよさ優先ってことで、ね。

 ストーリーもなかなか味わい深く、特に命に対する価値観は他のゲームとかなり違う印象を受けました。
 製作者もキャラクターも死から逃げてない感じ、とでも言うべきか。
 戦闘で相手を倒したらちゃんと相手が死ぬんですよ。アクションとか洋RPGだと当たり前のことなんですが、日本のRPGだと結構珍しいと思います。そして尽く、ドライなんですよ。目の前で人が死んだ、というか直に殺したにも関わらず、戦闘終了後は軽口も叩くし、かなりキツい言葉を浴びせることもあります。人によっては命を軽く扱ってる!みたいに不快に思うかもしれないです。
 でも、自分はそうじゃないと感じました。日常的に死が隣り合わせの世界観だからこそ、突然人が死ぬことが日常だからこそ、その受け入れ方が極端にドライなのではないかと。まだその表現が完成されているとは言い切れないのが難点ですが、描写しようとした世界とか思想とか、そういうのがビリビリ感じられる死生観が凄く味わい深かった。
 戦闘に勝利したときに表示される「STILL ALIVE」が非常に印象的です。
 重要人物の死とか、信頼していた人物との敵対とか、そういうのを淡々と受け入れ、戦い、迷うこと無く確実に殺す。
 倒す、とか、ぶちのめす、とか、そういう言葉をあえて使わない。殺す。ただその概念を突き通しているのが美しいなと思いました。
 ラストシーンこそそんな考え方さえぶっ飛ばす内容ですが、常に死と向き合っている姿に偽りが無いからこそあのラストシーンだったと言えるのではないでしょうか。あのラストシーンも含め好きなストーリーでした。


 太鼓判を押しますが物凄く良いゲームです。こんなに良いゲーム、5年に1本あるかないかってぐらい。
 戦闘システムが合わなければどこまでも合わないゲームだと思いますが、自分にはジャストフィットな感じでした。
 久々に、10年後また遊べるレベルのRPGに触れた気がします。発売からの年月的に続編が欲しくなってくる頃合いですが、このゲームはここで終わるのもまた美しいのではないかとさえ思います。