2015年のカープ話

 今年は2月よりケーブルテレビを導入しました。加えてradiko有料会員も兼ねることで完成された、僕のための最強のプロ野球視聴生活。
 毎日試合終了まで野球を視聴し、勝敗に一喜一憂できたという点では、なかなか快適なものでした。


 しかし終わってみれば我らが広島カープは4位。開幕前の期待値とはかけ離れた結果にファンも落胆していたようです。
 個人的には、「思ったより健闘したな」というのが正直な感想です。
 毎日毎日試合を見てると嫌でもわかるんですが、到底優勝を狙えるようなチームではありませんでした。「お世辞にしても優勝候補は無い」と、4月が終わる時点で半ば優勝を諦めている自分がいました。
 交流戦の予想外の奮闘と、セ・リーグ全体のグダグダが幸いして終盤までAクラスを狙える状態だったのはもうそれだけで奇跡のようなものだったと思います。
 自分がここまでカープに期待しなかった年ってのは大分久しぶりだなと思いますが、それもこれも未熟な首脳陣によるところが大きいです。


 だから緒方が監督になるのは嫌だったんですよ。大好きな選手だっただけに、嫌いになるのが嫌だったんですよ。
 きちんと考えることができる、現状を把握することができる、そんな人がトップに立ってくれれば、20年以上も優勝できない情けないチームにはならなかったはずなんですよ。
 コーチ手形という身内贔屓と、外からの招へいの少なさで、田舎独特の閉鎖的な環境に陥っている。
 たとえ黒字経営でも、志が無いならその黒字は無価値なんですよ。広島を活性化させるとかその程度の志はあるんでしょうけど、こんな一過性のブームに頼りきっていたらまたどん底ですよ。
 まとめると松田元はもう少し危機感持てよってことですよ。


 戦力はそれなり、それこそ優勝だって確かに狙えるだけのものはあったと思うんですが、盛者必衰。
 去年活躍した選手が今年も同じように活躍すると計算したうえで語られるのが前評判というものですが、ことごとくその計算は狂いました。
 計算が狂うだけならまだ良かったのですが、首脳陣も狂っていました。
 狂っていたというより、単に優柔不断だっただけというようにも思えます。


 もう場慣れしてないのがテレビ越しでも伝わるんですよね。
 そもそもなんですけど、畝や迎みたいに選手として一軍でまともに働いた経験の無い人が一軍でコーチとして人に指示できるんか?それを一軍の選手は納得して聞き入れてくれるんか?って思います。
 まあ迎は補佐という身分なので良いとしましょう。
 問題は畝ですよ。畝。うああああもうこいつさえ、こいつさえ。くそうくそう。こんなに人事を憎んだのは生まれて初めてのことですよ。
 まさか佐々岡待望論が出てくるとは思いもしませんでした。
 もちろん投手起用の最終決定には監督の意思が絡んでくるので畝だけを責めるのは酷というものですが、偏った投手起用が続きました。
 データ無視の左右病くらいは可愛いもの。僅差で勝っていれば大瀬良中崎、大差で勝ってても大瀬良中崎、負けてても僅差なら大瀬良中崎。
 明日の試合も、選手の将来もまともに考えることができない、その場限りの采配。
 一軍に昇格しても敗戦処理以外でまともに投げさせてもらえない選手たちの苦悩が伝わってきます。


 しかしそんな中でも中崎はよく最後まで投げ続けたもんだなと感心します。シーズン途中からの抑え転向直後は毎試合ピンチを背負っては野次られていましたが、この逆境を跳ね除けた精神力は実に抑え向きだと思います。
 大瀬良だって最後の最後で力尽きるまでは立派に中継ぎエースになれていました。失ったものも計り知れませんが、ある意味緒方畝采配のおかげで得たものだってあるはずです。頑張って欲しい。
 そう、そうなんですよ。選手の話をしたいんですよ俺は。何が楽しくてコーチ監督批判しなきゃならんのですか。
 もうやめだやめ。腹立つだけだ。俺が好きなのはカープという球団じゃなくてカープの選手なんだ。


 リリーフの話になってたんでリリーフの話をしますが、なんというか粒ぞろいなのに何故か一軍定着しない選手が多かったですね。
 特に防御率は2〜3点台の選手が非常に多い。今年は投高打低のシーズンだったので特別良いというわけではないでしょうが、もう少し辛抱強く起用してやっていれば、もう1人くらいは化けたんじゃないかなあと思います。
 戸田、ヒース、飯田、一岡、今村、中田、永川、ザガースキー、今井…
 振り返ってみれば、皆安定感に欠けたり大量失点をしたりで二軍に落ちたり信頼を失ったりした選手ばかりですが、彼らに比べて大瀬良中崎が特別良かったかというと、そこまで差はついていなかったかなあと思います。巡り合わせとして大瀬良中崎が勝利の方程式に組み込まれただけであって、別の選手がその中に入り込める余地は十分にあったはず。
 それを拒んだのは、全てコーチ監督…いやいや、もう首脳陣の話はしないぞ。
 でもザガースキーは惜しかったね。個人的にはザガースキーを抑えにしても良いんじゃないかと思ってましたが、何度か大崩れして信頼を失ってしまった。エルドレッド復帰やジョンソンの活躍に加えてヒースも後半は起用が増えて枠が押されて、もったいないことになってしまった。制球さえ良くなればという感じでした。


 ていうか外国人獲り過ぎなんだよね。
 シアーホルツ、グスマン、ロサリオ、ジョンソン、エルドレッド、ザガースキー、ヒース…
 皆それぞれ良いとこあって、一軍で十分に活躍できるポテンシャルがあるのに、外国人登録枠の関係ではみ出してしまう選手達。
 毎年、外国人獲得で補強したつもりになってる浅はかな球団らしい末路と言えますよ。
 黒田を獲得したとはいえ、そこから先の補強が外国人やトレードで止まる当たりが広島球団の伝統的にクソなとこですね。
 いいからカープ女子マネーでFAした日本人選手を乱獲するんだよ!それしかねえって毎度わかってんだろ!


 少し話が逸れた。先発投手陣の話をしよう。
 なんといってもエース前田健太。そしてジョンソン。最多勝投手と最優秀防御率投手がそれぞれいて、これでBクラス止まりってんだから、「野球はまず投手」という常識さえ疑わしくなってきます。
 ぶっちゃけ両人は文句のつけようのない活躍でした。そんなもん成績をみれば誰だってわかることですが、単純に観戦していて安定感が半端無かったです。ジョンソンがいなかったらどんだけ負けただろうか。ザ・救世主。ザ・メシア。


 次に挙げたいのはご存知黒田…ではなく、福井です。
 今年最も我々を興奮させてくれたのは黒田ではなく福井です
 結果的には二桁勝利に届かず、最後の最後で息切れしてしまいましたが、夏場までは非常に頼りになる投手だった。ムラもあったが、登板前の期待感は他の投手に無いものがあった。ひとたび歯車が噛み合えば手のつけようが無いくらいの好投に震えるばかり。
 負けが混んだ時でも先発ローテの一角としてチームを支えて勝ち続けてくれて、一時期は「もう(福井以外じゃ勝て)ないじゃん…」とまで思わせてくれた今シーズンのダークホース。
 早稲田の三羽烏一番の問題児は真っ先に大空へ羽ばたきました。といっても二桁に届かなかったので、微妙な結果ではあるんですが。大空っていうか、現状は高度下がって低空飛行?
 でも、そんな締まらない福井だから愛しいってのもあります。長谷川昌幸とか高橋建みたいな、大投手には程遠いんだが何かやってくれそうな、底知れぬポテンシャルを感じる投手っていうんすかね。
 まあ今年のカープっつったら福井です。福井を挙げられないファンは何も見てないに等しいと思います。ファンかどうかさえ怪しいものです。


 で、ようやく黒田です。
 失礼を承知で言わせてもらうと、正直ここまで活躍するとは思いませんでした。
 福井をべた褒めした後でこういうのもなんですが、しっかり二桁勝利して防御率も2点台。いやーやっぱね、メジャーリーガーすげえっすよ。福井とは格が違いますよ
 黒田ってね、実は日米通じて防御率2点台でシーズン終えたことがなかったんですよ。1点台は一度だけあったんですけどね。日本時代は打高な時代なのでしょうがないんですけど、ほとんど3点台。今年は珍しいもん見れたなーって。まあ最後かもしれんけどね。
 いいもん見せてもらえたよ。
 男気男気って散々煽られてかわいそうなもんだったけど、そんな中で良い意味で目立った結果を残せるのは常人離れしていると思うよ。
 本当に戻ってきてくれてありがとう。必要以上に持ち上げる周囲に嫌な顔せずきちんと仕事をこなしてくれて、もうそれだけで十分ですよ。
 そんだけ尽くしてくれたからこそ、優勝したかったけどね…本音を言うとね…ごめんね…


 他にも野村がいまいちパッとしなかったり、ルーキーの薮田があと一歩のところで脱落して行ったり、といった話題も触れておきたいところですが、概ね先発に関しては不満が無いです。
 強いて言うなら、大瀬良は先発のままでも良かったんじゃないかなあとまだ思うところなんですが、大瀬良が中継ぎに転向して救われた面があるのも事実。チーム事情に振り回されながらもよくやってくれましたよ。
 戸田も終盤先発に回されたりしていましたが、5回持たなかったことが多く、この人もチーム事情に振り回されて成績を落としたタイプかなと思います。


 そろそろ野手の話でもしましょうか。
 やはりなんといっても新井でしょう。今年は新井がいなければ最下位だったかもしれません。
 どうしようもないクソ打線をいつも一人で健気に支えてくれたのが新井でした。
 相対的に新井が最も好打者ということもあり、新井を4番に「せざるを得ない」のがチーム状態の悪さを表していたともいえますが、泣けてくるぐらい新井が最も4番に適していたのが今年の広島打線。
 夏場以降怪我の影響や体力的なものもあってか、打率も下がりエルドレッドに4番を渡す形になりましたが、言うてもエルドレッドより新井の方が4番に向いていたと思います。チームの勝敗に責任を持てるのが新井しかいなかったんですよね。
 大半の選手は自分のことで頭がいっぱいだったように見えました。エルドレッドだって例外ではなく。
 若いチームだからしょうがないんですけど、だからこそ、新井がいてくれて良かった。
 戻ってくるときに難色を示した心ないカープファンがいましたが、そいつらを黙らせて手のひら返しさせるくらい、大切なものを沢山与えてくれました。
 本当に戻ってきてくれてありがとう、新井。
 また新井の応援歌を歌えることがただ単純に嬉しかった。


 新井の次に活躍した選手として、自分は田中広輔を挙げたいです。今年は一年間ショートのレギュラーとして貢献してくれました。
 大活躍といえるほどの成績では無いものの、菊池という絶対的なセカンドに釣り合うだけの守備ができる遊撃手は今のところ田中ぐらいじゃないでしょうか。日に日に上手くなっていく守備には何度も助けられました。
 打撃の面ではまだ物足りなさがありますが、勝負どころで決定打を打てる力とか度胸みたいなものはルーキーイヤーから飛び抜けてるものがあると思います。
 むしろ打撃面では菊池の方が問題が多かったです。昨年リーグ2位の打率もどこへやら。得点圏打率も低く、2番としてはこんなものかなという成績ではありますが、どうしても比較されてしまうヤクルト山田の存在が大きくなりすぎてしまい、今年野手の中では最もファンのヘイトが集まってしまった選手かもしれません。
 個人的には守備職人として割り切って生きてもらうのもありかなと思いますが、しかしミスター赤ヘルの面影を感じ取った者としては、どうしても求めてしまうんすね。
 まあ投高打低の時代に山田がトリプルスリーなんてやっちゃったから、可哀想な比較をされたもんだと思いますよ。本人も意識しすぎて壊れてしまわないか心配です。


 菊池とくればお次は丸ですが、丸も今年は成績大幅ダウン。ただ、個人的にはそこまで悪い印象は無いです。
 やはり出塁率.361は十分な活躍かなと思います。もう2分くらい打率が上がれば言うことないけど、1番打者としては及第点。しかし3番としては物足りない。選手層の薄さが丸の評価を結果的に下げているような、そんな印象もあります。いい選手だと思うがね俺は。
 菊池も丸もそうなんですけど、怪我せずずっと試合に出続けてくれたのは最大限評価すべきだと思います。まあ監督が好不調に関わらず選手入れ替えをしなさすぎただけっていうのもあるんですが、菊丸の代わりになるだけの選手は結局現れなかったと思います。
 ただ、菊丸をセットで考えすぎたよなあ…というとこはある。チャンス時に不調の菊丸凡退で3アウトってパターンを何回見たことか。監督さえ、監督さえもう少し頭を使える人間だったら…必死でなんとかしようという意思さえあれば…
 いや、首脳陣批判はやめよう…


 外国人野手はシアーホルツ、グスマン、ロサリオ、エルドレッドと4人もいましたが、皆粒ぞろいであり、皆今ひとつでもありました。
 結果的にはエルドレッドのみが抜きん出た形になりましたが、エルドレッドを中核にしている限りこのチームは優勝できない気がします。
 決勝本塁打を打ったり、大活躍するときはするんだけど、好不調の波が激しいし、精神的にも安定しているとはとても言いがたく、4番より6番くらいに置きたいんだよなー正直なところ。
 来年もいてもらいたい選手ではあるんですけどね。


 捕手に関しては、昨年辺りに激化した正捕手争いは終盤に来てひとまず石原で定着した感があります。
 會澤も悪くなかったんですが、打撃を買われていただけに今年の成績では正捕手になれないのもしょうがない感じです。終わってみると石原の打撃成績とそれほど変わらない。なら石原を使うよね、みたいな流れができていました。
 とはいえ打てるキャッチャーはロマンです。會澤にはセ・リーグを代表する捕手になってほしいものです。それだけの力があるはず。


 他は特にレギュラーらしいレギュラーはいませんでした。
 強いて挙げるなら代打の切り札小窪と、今ひとつレギュラーになりきれなかったものの要所要所で活躍した松山は格の違いを感じます。
 松山は飛躍のシーズンになりそうでならなかったね。これは緒方の起用方法も悪かったと思う。
 小窪も松山も同学年なので頑張って欲しいですよ。
 特に小窪。何か生きる道を見つけたような感じですね。スタメン時の頼りなさはご愛嬌。代打も重要なポジションですよ。全盛期町田浅井のような存在感が既に出てきていると思います。レギュラーになれなくとも立派なことだなと。


 それ以外は、正直「それ以外」「その他」って扱いにせざるを得ない感じでしたかね。
 梵、堂林、鈴木誠也木村昇吾、野間…
 鈴木誠也は打撃ではそこそこ良い活躍するんですけど、しょうもないポカが多すぎてあまり肯定的に見たくない選手です。ミスをした試合でも勝ったあとヘラヘラしてる感じがあんま好きになれんです。
 野間は世間で叩かれるほど成績悪くも無いし、打撃はともかく何度も好守備好返球に助けられてきたので凡退や例の暴投も大目に見ていますが、まあ監督に贔屓されすぎました。このレベルの贔屓はちょっと記憶に無いです。
 緒方は野間に自分の面影を見ているのかもしれませんし、自分ができなかったことをさせてやりたい親心もわかるんですが、バカじゃねーのさっさと辞めろよとも思います。
 やっぱり緒方は許せません。
 続投するなら許せるくらいに成長してください。ノムケン最終年くらいになってくれないと許せません。
 たとえBクラスでも、ぶっちゃけダントツ最下位でもいいんで、何か来年に向けての希望を見せてほしかったなあ…


 こんなとこでしょうか。
 語りたいことはまだまだ山程ありますが、全てが緒方批判、畝批判に繋がるのでそろそろ自重しようかなと思います。
 ノムケンが監督になってからの一年目も酷かったですが、また質の違う酷さを目の当たりにしたような気がします。
 来年はもう少しマシになっていてほしいものです。難しいなら辞めてほしいなと思います。
 俺自身ここまで首脳陣批判したことは今まで無かったので自分でも驚いています。


 そうそう、せっかくのカープ記事なので触れておこうと思いますが、東出は引退、栗原は退団することが決まりました。
 00年代を支えてくれたカープの選手もだいぶ減ってきましたね。自分が最も熱心に応援した時代が00年代だったので、なかなかクるものがあります。
 あのときの高卒ルーキーがベテランとなり、引退していく。そんな無情に過ぎゆく時間の中で、ずっと優勝できないままでいる広島という球団に情けなさも感じます。
 優勝は無理でも、来年はとにかく、一歩でも前進してほしいなと思います。
 一過性のブームに依存しない、強い球団になってください。