花咲くいろは
TVシリーズと劇場版を視聴。
いわゆる女子高生がお仕事やってみたシリーズの系譜で舞台が旅館というだけのアニメというのが1話の印象でしたが、癖の強い登場人物の魅力に引き込まれあっという間に全話完走していました。
どのキャラクターも最終話になるまでに少なからず成長を見せているんですが、ベースは特に変化が無く、キャラクターがそのキャラクターを維持したままだったのが印象的でした。
この作品、何かにつけて板前とか女将とか競合旅館とか客とか仲居とか、いろんな立場の人々がその立場で会話するところがちゃんと作りこまれていて、ただその掛け合いを眺めるだけでも楽しかった。同じPAワークスのSHIROBAKOなんかもそうですけど、お仕事を主題にしたアニメはこの辺が作りこまれてなきゃいかんなと改めて感じた次第です。
印象的なエピソードも多く、特に風邪回がお気に入りです。
作画も凄く良くて、こう、一見するとなんてことない旅館とか町の風景が、とても魅力的なものに見えました。これは作中で某キャラクターが言ったように、緒花というキャラクターが存在するからこそ、まさに景色が輝いて見えたんだろうなと、そう感じさせてくれるに十分な作画でした。良作画という言葉で片づけてもいいんですけど、緒花とともにあることがその美しさに繋がっているのかなと思わせるような、そんな輝きを常に感じさせてくれた。物語込みで素晴らしいと感じさせる作画でした。
そして特筆すべきは最終話視聴後の喪失感。
どのキャラクターにも夢や将来があるのに、その続きを視聴者として見ることはまず叶わないのだろう。
途方もなく明るい未来へ歩みを進めていく登場人物の眩しさが番組終了とともに突然途絶えることで感じた、置いて行かれるような恐怖が視聴後の自分を支配しました。
これはかなりクるものがありましたよ。
人によって感じ方は違うかもしれんけど、俺にとっては心に消えない傷跡を残していったアニメという認識です。
良いアニメだった。眩しく美しいアニメ。結末も美しい。だからこそ心を抉るし、それが素晴らしい。