チョコボと魔法の絵本 魔女と少女と5人の勇者

 クリアした。
 無難に前作のリソースを流用しつつ、いくつかの新要素を絡めてそこそこ立派なゲームに仕上げた感じ。相変わらずアレンジされたFFサウンドを楽しむミニゲーム集だが、ムキになりたくなる程度には熱中できる楽しさもまた相変わらず。
 このゲームは、
 「ある日、絵本たちが暴走してしまった!暴走を食い止めるためにチョコボは絵本の中に入り込む!」
 とかそんな感じのストーリーというかノリでゲームが進行していく。前作とは異なり、登場する絵本はオリジナル。絵本の中には複数のミニゲームがあり、それをクリアしていくことでお話が進んでいく。前作とは話の流れが微妙に違う、というか、そもそも前作からはストーリーが全くつながっていないので注意。
 前作にあったジャンケンを模したようなカードゲームの「ポップアップデュエル」は人気があったのか無かったのか、通信対戦などで今作でも遊べるようにしてくれてはいるものの、大筋のストーリー上では特に遊ぶ機会が設けられていない。
 代わりに導入されたのがプルバックデュエル。プルバックデュエルは、カーリングに独自ルールを加えたようなミニゲームとなっている。細かいルールは絵本ごとに異なるが、基本は体当たりによってHPを削り合い、HPがゼロになった方が負け、というルール。ようはぶつかり合い。
 プルバックデュエルははっきり言ってそれほど面白くは無かった。基本的には、チョコボを吹っ飛ばして、敵やその他のオブジェクトにぶつけて、相手のHPを減らしていくだけのもの。マップもギミックに乏しく、やたらと時間がかかる仕様の割に、何かとストーリーを進める際にはこのプルバックデュエルをやらせようとしてくる。なんの実験だ。
 BGMがかなり空気を盛り上げてくれはするものの(相変わらずFF曲のアレンジばかりだが、選曲がとても良い)、やること自体がそれほど面白くないのでもったいない気がした。戦闘が始まった瞬間はBGMの効果もあってかなり盛り上がるのだけど、終わる頃には「もういいよ・・・早く終われよ・・・」となってしまう。
 ストーリーもなんか尻すぼみな感じで、若干タイトル詐欺っつうか、最初から最後まで「さすがチョコボさんマジぱねっす!」というだけの内容。魔女とか少女とか勇者とかどうでもよくね?みたいな感じで。まあチョコボ可愛いから良いんだけどさぁ。もう(笑)だよ、5人の勇者(笑)。壮大に仕上げる感満々だったのにありゃあねぇよ。打ち切り漫画かよ。
 おかげでボリュームにも乏しい気がした。そんな極端に短いゲームではないのだけど、終盤がパッとしないゲームはえてしてボリューム不足感を感じてしまうものだね。俺はあともう一つ山場があるものだと最後まで信じていたのに・・・あと5段くらい階段が続いているものだと思って走っていたらズコーみたいな。そんな感じだ。
 えらく批判的な記事になってしまったが、全体的に見るとなかなか熱中できるミニゲームも多く、ストーリーはメチャクチャだけれど絵本っぽいタッチで描かれたキャラクターや世界観は悪くないと思うし、意外とシロマ(CV:平野綾)の声はウザくなかったし・・・
 あれ良いトコ挙げたつもりなのになんかこれまた批判しているような空気になってしまった。
 いやいやそんなに悪くも無いんですよこれ。FFサウンドのアレンジは選曲もそうですけどアレンジそのものも良かった。特にバトル系のBGMが多く使われていたので、激しい曲が好きな人には向いてるかもです。
 でもなんか前作のような余韻を楽しみたくなるような満足感は無かったかもだなー。好きな部類に入るゲームなんだが、けして「良い」とは言えないせつなさが残るゲームでもあったなぁ。
 FFサウンドアレンジとチョコボが好きな人はそこそこ楽しめると思います。個人的には前作をオススメしたいところです。